茜は、過去の夢の中でもがいていた。
一気に過去が小学生へとさかのぼり、一人で部屋の隅で泣いている少女、茜…。
『お母さん…、早く帰って来て…。
一人じゃ寂しいよ…』
母がいつも茜に言っていた言葉が、何度も繰り返される。
「あんたなんて、産まなければ良かった。
あんたさえ居なければ、お母さんは幸せになれたのに」
『お母さん…、お母さんは私の事が嫌いなの
茜、お母さんの言う事、ちゃんと聞くから、いい子になるから嫌いにならないで』
「茜が出来たせいで、お父さんと結婚しなくちゃいけなくなったの。
お母さんは、違う人が好きだったの。
お父さんの事なんて、好きじゃなかった」
母は、母親ではなく、女に生きた…。