拓也との再会、康平の優しさ…。
茜の頭の中で、いつも渦を巻いていた。
だが、そんな思いを必死に打ち消すかの様に、
茜はまた小説にのめり込んでいった。
あの、茜の異変から一ヶ月。
久しぶりに希から連絡が来た。
深夜一時、小説を書いていた茜は、リビングで一休みしていると、
家の電話が鳴った。
『こんな時間に掛けて来るのは、一人しか居ないよね』
何て思いながら、茜は電話に出た。
「茜、元気なの。
全然連絡して来ないんだから…」
といつも同じ様なセリフが、受話器の向こうから聞こえて来た。
『希、ごめん、連絡しなくて。
私は元気にやってるよ。
また、小説も書けるようになったんだ』