外からは店の中は全く見えない…。


心臓の鼓動がバクバクと音を立てていた。


呼吸を整え、深呼吸をして、茜は店のドアに手をかけた。


目を閉じ、ゆっくりとドアを開けると、カランカランと音がした。


ドアを開けて、その場にそのまま立ち竦んでいた茜。


”いらっしゃい”と声が聞こえたが、茜は中には入れなかった…。


すると目の前に誰かが立っていた。


「茜…」と呟いたのは、紛れもなく拓也だった…。


拓也は茜を見つめ、茜も拓也を見つめていた。


茜は拓也を見ても、何も言えずに立っていた。


「茜…、よく来てくれたな」


茜は何も言わず、ただ拓也を見つめていた。


「何突っ立ってんだ。座れよ」


拓也はそう言って、茜の背中を押した。