男と女の間に、愛が存在してしまうと、苦しくてたまらない。
辛くて、悲しくて、自分を見失ってしまう。
そう思ったのは、遠い昔の事だった…。
若さゆえに、そう思ったのかも知れない。
でも、この年であんな事になったら、きっと立ち直れない。
なんて、昔を思い出してしまった。
茜は着信のあった人に連絡をする。
『康一、私、電話くれたでしょ』
『力、私、うん、ごめん、電話出れなくて』
電話は皆、お誘いの電話。
見事に断らなければならない状態だった…。
電話が終わると、部屋の掃除に取り掛かる。
やるときはとことんやる主義。
だから、最低三時間は掛かってしまう。
独り言と鼻歌を歌いながら、掃除する事三時間半。
時間はすでに夕方の五時を回っていた。