茜の場合、常に小説を書いている生活をしているため、
書けない不安と恐怖は大きい。


『助けてよ…、誰か…』


何故、急に書けなくなってしまったのか。


今の茜には、考えることなど出来なかった。


『このまま書けなかったら…。
小説家じゃなくなっちゃう…』


茜は、こんな弱気なことばかり口ばしる。


電話が鳴っていた…。


家の電話が…。茜ははいつくばって、受話器を手にした。


「茜、希だけど。たまには連絡しなよ。
執筆で忙しいのは分かるけど」


電話は希からだった。


『希…、私…、おかしくなった…』


茜は搾り出す様に言葉を発した。


茜の様子がおかしい!希は焦った。


「茜!何かあったの!茜!」


『書けないよ…、小説が…』