四十歳を迎えた茜だったが、その直後から、新たな苦しみが襲っていた。
『何で!何でストーリーが浮かんで来ない!あぁー!!』
一週間が過ぎても、一向に書けない苛立ちが抑えきれず、
叫び声を上げ、物に当たる様になっていた。
『ガチャーン!ドーン!』
グラスを投げつけ、イスを蹴り、手当たり次第に物を投げつけた。
『お願い…、お願いだから…』
この一週間、ろくに物も食べず、書けない苛立ちと焦りで眠れない日々…。
七割ほど書き上がっていた小説は、一文字も増えないまま…。
『光…、これは私の受ける罰なの…。
お願い…、私から小説を取らないで…』
書けないこの苦しみは、茜にとって何よりも辛い…。