すると、いきなり腕の力が弱まった。 課長の身体が離れていき、課長と私の視線がぶつかる。 「…ずるいよ、おまえ」 そうぽつりと言う課長。 私を見据える視線は、完全に上司のものじゃない。 “男”の視線を私に向けた課長は、私の後頭部に手を添える。 「………遠慮しないからな」 ―――そう掠れた声で囁いた課長の唇が私の唇に重なる。 この間のキスとは違う。 触れあってるだけで熱くて、くらくらしてしまいそうだった。