私がそう言うと、昴さんは妖しく笑う。 「そこまで言うならさ、部屋に戻ったらお礼してもらおうかな」 「なっ、な!」 その一言に、私の顔は一気に熱を帯びる。 そんな私を見て、昴さんは声を出して笑った。 「冗談だよ。さ、帰るぞ」 ―――今の昴さんは、初めて会ったときの昴さんじゃない。 本当は、こんなに優しく笑う人なんだ。 そんなことを思いながら、私は昴さんについて部屋に戻っていった。