「わたしね、辰くんに言いたいことがあって待ってたの。」
「俺に、言いたいこと?」
「そう。
聞いてくれる?」
不安そうに俺を見上げる美亜。
「うん。でも、そのあと、俺の言いたいことも聞いてほしい。」
「後でいいの?」
「うん♪
いつも、俺ばっか言いたいこと言ってたでしょ?
だから、美亜に言いたいことができたなら、先に聞きたいんだ。」
なんでもいい。
美亜の言葉なら。
美亜の気持ちを、知りたいんだ。
「ありがとう。
じゃあ、先言うね。」
「うん。」
嗚呼なんだろう、この感じ。
相手の気持ちを聞く瞬間。
楽しみなような、不安なような
でも、やっぱりうれしくて
ちょっとはずかしい・・・・・。
はじめて味わうこの感覚。
でも、これだけは言える。
嫌じゃない。
むしろ、心地いい。

