―――翌日
各局のマスコミが五十嵐の事務所に来た。

これは俺が連絡したためだ。

マスコミは動物が餌に食いついたように、五十嵐の事務所にやってきた。

そのため、『ヘブン』国内のメディアは五十嵐に注目を寄せている。

俺は五十嵐に提案して、記者会見を行い、事件の詳細を詳しく説明させた。

更に、無能者のための『能力開発』を『ヘブン』国民に宣言させた。

会見後、五十嵐は長年の夢である『能力開発』を進めるきっかけを作れたと喜んでいた。

自宅は警察の現場検証を行っているため、事務所でしばらく暮らすことになった。

五十嵐を護衛する警察官は昨夜までは6人だったが、午後から20人に増えた。

警察の話では襲撃犯の目的が不明のためである。

また、マスコミから五十嵐を保護するためでもある。




―――2日後の深夜
俺達は事務所にいた。

俺と五十嵐、五十嵐の下で働く支援者、警察20人がいた。

事務所は8階建てビルの1階に設置されている。

道路と通りに挟まれた造りになっており、入口は2つ存在する。他のビルは4階建てである。

この場所に事務所を構えたのは次の襲撃に対策を取るためだ。

入り口が2か所あり、1階に事務所を構えることで狙撃タイプからの攻撃ポイントを定めるだけでなく、隠密部隊の行動を先読みすることが出来る。

もし、隠密部隊が攻めて来た場合、一ヵ所は接近タイプが攻め、もう一ヵ所は狙撃タイプが攻撃することで、出口を防ぐ。

普段、健康に気を使う五十嵐だが、この二日間は夜更かしをしていた。

命を狙われていることや報道陣の受け応えが厳しく疲れていた。

俺は五十嵐を励ましながら、普段通りに振る舞った。