五十嵐の国造りは無能者のための『能力開発』だ。

正直、13年前の五十嵐は『G』にとっては脅威ではないだろう。

だが、今現在の五十嵐は脅威以外の何物でもない。

五十嵐にはある程度の力があり、国民からの支持もある。

それは五十嵐の人柄からなのだろう。

ここまで成長させるのに13年掛けた。

それでも五十嵐は満足していない。当初の夢が叶っていないためだ。




今の五十嵐は『G』が標的にする要素が豊富だ。

現在、早川と行われる面談で、きっと五十嵐は俺の提案通りに話を進めるだろう。

そして、五十嵐の危険性を早川は感じる。

もし、五十嵐が早川の面談で話さなくても別の手段は用意している。

もし、早川が五十嵐の危険性を認識しなければ、『ヘブン』国内の『能力開発』は急速に成長するだろう。

なぜなら、無能者は『ヘブン』国内に1万人、世界ではそれ以上存在するためだ。

五十嵐が『能力開発』を政治家として国に進めると、現在の支持層と無能者の支持層、さらに国民からの同情心という+αの支持層を手に入れることが出来る。

つまり、『ヘブン』国内の『能力開発』は確実に成長する。




俺が今まで五十嵐に協力したのは、彼が『能力開発』に力を入れたいためだ。

だが、俺の目的は違う。

全ては『G』隠密部隊を誘き寄せる『餌作り』のためだ。