『聞いて聞いて。昨日彼女とちゅーしちゃった!



次の日の学校。新井は朝からうざいテンションだった。低血圧の俺には頭に響くでかい声。



『へぇ。よかったね。つーかまだヤってなかったんだ』

『お前と一緒にするんじゃねーよ』


新井には悪いけど、男ののろけ話なんて全然興味ない。まぁ、逆にヤった報告とかされても困るけど。


『俺は今回本気なの。簡単に手出して嫌われたらどうすんだよ』


---------------しらねーよ。

俺はカバンを机の上に置いて、コキコキと首を鳴らした。


『どうでもいいけど、一時限目サボろうぜ。つまんない古典だし』

『俺の話をどうでもいいとか言う奴とさぼりたくない』


『うるせー。行くぞ』


新井を無理矢理さぼらせ、俺達は屋上に向かった。




『なんかさ、成見ここ最近機嫌悪くね?』


新井が屋上の手すりに手をかけながら言った。



機嫌なんて悪くないけど。
でもそう見えるのなら原因は一つしか思い浮かばない。



『お、2組体育やってる。サッカーか、いいなぁ』


新井は俺の話題からすぐに方向転換。確かに屋上からでも校庭の声が聞こえる。


俺はそんなの全然興味なくて、ただ青い空を寝転がって見ていた。



『2組の宇佐美 由依って可愛いよね』

『!!』


新井の何気ない言葉に思わず反応してしまった。