『………礼を言うのはこっちだよ。宇佐美は俺の恩人なんだから』


あの頃、宇佐美が居なかったらと思うとゾッとする。

今となっては笑い話だけど、教科書を隠された時も机に落書きされてた時も、仲間外れにされてた時も

宇佐美だけが俺を助けてくれたんだ。

まるで漫画のヒーローみたいに。


『じゃ、お互いに恩人だね。まぁタツの事はいっぱい助けてあげたからまだ返してもらってない借りがたくさんあるけどね~』

『はぁ?』


声を出して笑う宇佐美を久しぶりに見た気がした。ずっと過去と今を重ね合わせて見ていたけど、幼いふたりはもういない。


『ってかしゃべり方、元に戻ったじゃん』


『べ、別に意識して変えてた訳じゃないよ。ただ遅かれ早かれ転校するかもって分かってたしあまり親しくしないようにって思ってたら……』


『だから俺は成見君?』


『だって高校に入ってタツ人気者になっちゃったじゃん。だから私が親しく接したらあれかなーとか色々考えて……』


---------------と、その時

バコンッッ!!!!と大きな音が学校中に響き渡った。