「泣いてもダメだ。」
・・・。
そう、私を突き落とすかのように振る舞った声。
[振る舞った]声。
爽哉はバカだ。
何年、私といると思っているのだろう。
さっきの声は、演技の声。
少しは、私を同情したのだと、わからせる声だ。
けど、けど。
同情したところで爽哉はダメだって言うんだ。
爽哉は優しい。
けど意思は固い男。
けどごめん。
私も、今回はひかないよ。
「何でも願い、きいてくれるって、言った。」
ぶつぶつと涙声で言った。
「っ」
爽哉の声がひくついた。
「私、が、どれだけ、不安なきもちを抱えているか、爽哉、知らない。
ひとりぼっちの寂しい夜を、爽哉は、知らないんだよ。
爽哉が私を、守りたいように、
私も爽哉を、守りたい。
私は、置いてかれるのはきらいだよ。」
私は爽哉の目を見た。
沈黙が流れる、
この間が、ものすごくドキドキとしてしまうのだ。
とくん、とくん。
自分の心臓の音しか聞こえない
「今回、だけな。」
私はバッと顔をあげた。

