もう一回言わせる気か?
そんな表情だ。
え、
何、ちょっとドキドキするんだけど。
恐怖の方で。
するとジュンくんは、はーっ、と
息を吐きながら顔をあげた。
そして背筋をのばす。
「あのな、もう一回言うよ?」
ジュンくんはさっきのどもったような感じでなく、
真っ正面を向き、落ち着きと余裕を醸し出してる。
え、何その急変。
こっちが緊張しちゃうよ。
ジュンくんが息を吸うのが見えた。
これから話すよ、
そう予言するかのように。
「えーとね、僕は、
つい、映画より中川さんが目にはいっちゃって、そっちを見ていました。」
丁寧に、語尾を落ち着かせて言った。
・・・?
「はい?」
私は思わずそんな馬鹿みたいな声が飛び出した。
な、に、を、言っているんだ?
え、ちょ、は?
まって、ちょい待って。
言葉の意味が分かってくると比例して、
私の顔が熱くなる。
熱い、熱い、熱いったらない。
「もう一回言わせる気か?」
ジュンくんは片眉をくいっ、と上げて言った。
い、いや、いいです。
「遠慮しときます。」
私は小さく言った。
すると正面からクスッと笑い声が聞こえた。
え、
私はすぐに顔を上げた。
「中川さん、顔が真っ赤だ。」
そんな風に言ってすぐに私から背を向けてしまった。
いや、だって恥ずかしいじゃないか・・・!
どんだけ私変に集中して映画見てたんだろ。
ああ、
と少しうなだれた。
けどジュンくんが先に行ってしまうから慌てて追いかけた。
そしてふと、目に入った。
あ・・・。
そして私も小さく笑ってしまった。
ジュンくんの耳も真っ赤だ。
・・・。
すごーく、一瞬チャラくて女慣れしている人かと思っちゃった。
普通にあんなこと言っちゃうんだから。
けど、そんなことなさそうだ。
私は駆け足でジュンくんに追いついた。

