唇にキスを、首筋に口づけを



おいしい夕食をいただき、


お店を出て映画館に向かい、


上映中に飲む飲み物などを買って、

トイレに行ったりしてからシアター内に入れば、

なんとまあジャストタイミング。



そして、ケータイの電源をきったりしていたら、


間もなく、映画が始まった。



上映中は本当に申し訳ないけど、
ジュンくんの存在は忘れてしまっていた。



自分でも、見事な程に。



エンドロールが流れ始め、ふわあ、


と背もたれに背中を預けたときに、

ジュンくんが視界に入って私はハッとした、


というね・・・。



そのくらい映画が面白かったんだから・・・!



「そろそろでようか。」



ジュンくんは空になった飲み物のケースなどを手に持ちながら立ち上がった。



「あ、うん!


あ、ありがとう」



私は返事をしつつ、


ジュンくんの持っているトレイを見ながらお礼を言った。



「いえいえ」



ニコリ、といつものジュンくんスマイルで返された。



・・・、こっちも自然に笑顔になれちゃうって本当に不思議・・・。



私はふとそんなことも考えていた。



「中川さん、見入ってたね。」


ジュンくんが出口にいるスタッフさんにトレイをあずけながら言った。



「だって、本当に面白かっただよー」



私は映画を思い出し、ヘラッと笑った。



「そうか、


それはよかった。」



「ジュンくんは面白くなかったの?」



ジュンくんの口ぶりから、なんだかジュンは何の感想も抱いていないように見えた。



ジュンくんはうーん、

と頭をかいた。



・・・ああ。



私はジュンくんの気持ちを何となく察した。



なんてったって恋愛映画だ。



女子向けに作られた。



まあ、つまりはコッテコテの恋愛話なのだ。


人によっては男性でもそんな話が好きな人もいるだろうが・・・。



ジュンくんはそれに当てはまらなかったようだ。



・・・。



申し訳ない、な。



「ごめんね・・・」



私はつい、そんな言葉が零れた。