唇にキスを、首筋に口づけを




また、彼と出くわした。



「こんばんは」


キラキラした何かが見えるのは私だけだろうか。


「またも会うなんて、


僕ら何か縁がありそうですね。」



「そうですね。」



私も彼のキラキラビジョンに負けないように笑顔を作った。



「今日は誰かに襲われてませんか?」



彼はふふっと、冗談を言う口調で言った。



「大丈夫です」



私は彼の冗談に笑いながら、返事をした。


「また何かあったら心配なので、今日も送ります。


あなた、隙が多いみたいなので。」


そう言うと、彼は不適な笑みを浮かべた。


え?



「いや、平気ですって!


というか、隙ってどういう意味ですか。」



少し最後のトーンが暗くなってしまった。



あ、怒ってるように聞こえたかも。


私は少しだけ焦った。



「怒りましたか?」



彼は急にオロオロしだして言った。




「いや、そういうわけではなくて。」



私もつられて焦ってしまう。



私が言うと、彼はふうっと安堵の息を漏らした。



そして彼は話し始める。



「先程こちらに歩いてきていた時に、


すごくボーッとしていたものですから・・・。


あれじゃあいつ襲われてもおかしくないなと。」



あはは、と申し訳なさそうに言った彼。



え、


私は少しドキリとした。



ヤバイ、と。



そんなボーッと歩いてたか私。



結界師だというのにそんな気を緩めてしまうなんて。



うわあああ、と心の中で自分を激しく攻め立てた。



何やってんだ私!



気を抜いてるとたまに結界が張られてないときがまだあるってのに・・・!



うう、と頭を抱えていると、彼はニコっと微笑んできた。



「家はどの方面ですか?」



彼のその声で我にかえった。



「え、お、あ、

三丁目の方です」




私は思わず言ってしまった。



ああ、何やってんだまたも私・・・!



普通ほとんど初対面の人にそんなこと言うか・・・!