―――次の日
今日は昼から出掛ける予定だ。
朝ごはん食べて、家事して、お昼食べて。
時間は15時過ぎくらい。
どうせ爽哉の買い物しかしないんだから時間はとらないし。
「ゆりなー、準備できたかー?」
一階から私を呼ぶ声がする。
「はいはーい、あと5分!」
私はそう言い放つ。
そしてまた一人、自室でメイクを再開する。
せっかくの久々のショッピングってこともあるし、
もう19歳だからすっぴんで外には出たくない。
ましてや人が多いところだし。
「よし」
私はマスカラをしまって、かばんを持つ。
そして急いで階段をくだってく。
ドシドシ響く足音。
「遅くなってごめん・・・!」
私は爽哉にガバッと頭を下げた。
そして私は勢いですぐ顔を上げる。
爽哉の表情が見える。
「あ、だいじょぶ、だ・・・よ」
その瞬間、爽哉は目を見開いた。
そして喋り方がカタコトだ。
「・・・?」
変だ。
かなり挙動不審。
私と目を合わそうとしない。
もしや、メイクやりすぎたか?
いや、ナチュラル、かなりナチュラルを意識したんだけど・・・。
時間をかけたのはアイメイクだけだし・・・。
「・・・どうした?」
私は爽哉の目の前で手をかざす。
「・・・っ、あ・・・うん」
爽哉はビクッとする。
ビビられてる・・・。
メイク落とした方がいいだろうか・・・。
「・・・いや、
何かいつもと違うからびっくりした。
髪の毛とか、
こーいうウェーブしてんのいい感じじゃん」
爽哉はそう言って私の髪に触れた。
爽哉の触れる手がゴツゴツしている。
あ、・・・何かやっぱり男になってるなぁ・・・
私は変なことを考えてしまった。
「あ、ありがとう・・・」
私は髪も巻いて、
・・・けど、まさか爽哉に褒められるなんて・・・。
爽哉も女子の容姿を褒めることができるようになったか。
・・・なんだか感慨深いなぁ。
「行くか」
「うん」
私は笑って頷く。
そして爽哉の運転してくれる車で、
郊外の大きなショッピングセンターに向かった。

