「そいつ、
一発殴りたいから」
なんだか爽哉からギラギラとした闘志あるオーラが見えた。
私は苦笑い。
「物騒なこと言わないでよ」
問題になるよ、
と私は爽哉の怒りを抑える。
ムムム、と爽哉は歯を食いしばっている。
「大体、あんな男の顔ももうぼんやりとしか覚えてないから無理だね。」
そう呆れたような口調で私が言うと、
爽哉は唇を噛み締めた。
「しゃあねーな」
チッと舌打ち。
もう話は終わりかな?
私はふう、とため息をついてまた両手を合わせる。
「けど、」
爽哉の声で、また私は手を合わせたまま硬直する。
「俺に無断で合コンとか浮かれたところに行くなんて、いただけない。」
「え」
もしかしてこれは説教モード?
ていうか合コン行くなとか言うなんて父親か。
私はご飯が冷めていくのをチラチラと見る。
「明日はバイトないか?」
爽哉はいつものトーンで言った。
あれ、説教じゃないのかも。
何でそんな質問するんだろう。
「ない・・・けど?」
「よし、じゃあ明日は俺の買い物に付き合えよ。
そしたら昨日の合コンのことはパーにしてやるよ。」
にんまり、満足そうに笑った。
買い物?
私は肩の力が抜けた。
何だ、そんなこと?
「もちろん、オッケー」
私も笑い返した。
「じゃあ話はおしまいな。
飯食おーぜ」
爽哉はそう言うと手をあわせた。
そしていつものように、
「「いただきます」」
声を揃えて言った。
・・・フワフワだったオムレツが少しかたくなってることに少々苛立ちを覚えたけど。

