唇にキスを、首筋に口づけを




家に着いた時刻は9時過ぎ。




お風呂に入って、
それからハンカチを念入りに洗う。




そして洗濯ばさみでしわにならないようにピン、と張りながら干す。





明日アイロンかけようかな。



明日の朝には乾いてるでしょ。





私はそう考えながら髪を乾かした。





髪の毛が綺麗に乾いたら、時間は10時15分。





んー・・・。




私は何をしようか一人で考えた。




けど爽哉はそろそろ帰ってくる時間帯だし。




とりあえず、何か飲もうとソファーから立ち上がった時だ。





「ただいま」




いつもの声がした。




いや、いつもより少し暗くて低い。




けれど条件反射でかえす。





「おかえり」





私はコップに注いだ麦茶を一先ずテーブルにおいて、



玄関に顔を出す。




すると爽哉は私の顔を見てくれた。




けど、急に俯いた。




ん?




私は眉をひそめる。




なんだか様子が変。




かなり変だよ。



なんかきょどってないか?





目線の方向とか変だ。




「・・・風呂、沸いてるよ?」




私は当たり障りのない言葉を繋いでみた。





「・・・あ、ああ」




爽哉は変な様子のまま、


俯きながら私の横をせかせかと去っていく。




・・・??




変なヤツ。




何か狩りであったのだろうか・・・?




私にそっくりの女ヴァンパイアがいた、とか?




ははは、そしたら顔見れなくなるかも。





・・・ま、きっと朝にはいつもの爽哉に戻っているだろうな。




寝たら忘れるタイプの人間だし。




「ふあー・・・」




私は自分の口を押さえた。




・・・ああ、疲れた。




ほんと、色々あったし。




眠い・・・。




いいや、もう寝る。




私は歯を磨いて自分のベッドに倒れるように眠った。