「今は・・・どこで暮らしているの?」



私はそっと彼に質問した。



「・・・今は野宿を続けている。」



「へぇ・・・」



私はそう言ってふいっと視線を逸らした。



そして一口紅茶を口に含む。



カップを置く音が妙に部屋に響いて変な感じ。



「じゃあさ

私の家にしばらく身をおけば。」



私はそう言い放った時、目を合わせられなかった。



けれど沈黙がながれて。



その沈黙がもどかしくて



彼と視線を合わせてみた。




「・・・」



「・・・」



お互い黙りこくってしまった。




ジュンは、目を見開いていたまま固まっていた。



何よ、その反応は。




「・・・どうすんの?」



私は沈黙を破ってそう言った。




するとジュンはハッとしたように我に返って、急にソワソワ動き始めた。


髪を触ってみたり、

視線を逸らして、

頬をつねって、




「痛くない。」

「元からヴァンパイアの痛覚なんて鈍いでしょ?」



私はそう言って笑ってしまった。



何を言っているんだこいつは。



面白い、天然か。



「・・・そうか、そうだ。

俺ヴァンパイアだった。」



そう言ってジュンも笑っていた。



そうしてしばらくクスクス二人で笑って。


なんだこれ、久しぶりのこの感覚。


変な感じで。


懐かしいような。



心があったかくて。



「俺のこと、気を許してくれたのか・・・?」



ジュンはニヤニヤして聞いてくる。



そして私はそれを聞いてとっさに口を開く。



「んなわけないでしょ!?


ひとりぼっちよりマシなの!!

それだけ!暇つぶ・・・うわぁ!!」



暇つぶし!

そう言おうとしたのに、急にジュンが抱きついてくるから。




私は驚いて声を上げてしまった。



「嬉しい。
ツンデレ」



ジュンは私の耳元で小さく笑う。



「違うってば!

ツンデレじゃない!」


「はいはーい」


ジュンは取り合ってくれなくて。



私はなんとなく、また彼の背中に腕をまわしてしまうのだった。



勘違いしないで、私。



ジュンのこと、好きなわけじゃないから。

ジュンは、ヴァンパイアだよ。