はぁ・・・
私は彼に腕を回しながら、
息をつく。
自分でこんなことしておきながら、すごくドキドキ心臓が高鳴る。
けど
なんでだろうなぁ。
少し、心がホッとするの。
すると私の背中にも腕の感覚がして。
あ・・・
嬉しい、
なんておかしい。
なにやってんだ私は。
この人・・・このヴァンパイアは私の大切な人たちを奪った仲間だよ?
あぁ、おかしいなおかしいな
憎めなくなってる。
彼を、憎めなくなってる。
彼は、実際爽哉を殺そうとしていた。
けれど実行はできていない。
私の親を殺したのも、爽哉の親を殺したのも、爽哉を殺したのも、
彼・・・ジュンじゃない。
あぁ、それならこの人を好いてしまってもいいか。
なんて考えがフッと頭をよぎる。
けれどけれど・・・
私は結界師なんだ・・・!!
私はヴァンパイアを絶滅させなければいけないのに・・・!
ああ、でも私はこの腕の中にまだ収まっていたい。
どうしようどうしよう。
けど、けど、いけないことだ。
認めちゃいけない。
好きじゃない、好きじゃない。一時の気の迷いだ。
つい、助けてもらって、弱ってるときに優しくしてもらってしまったから。
だからこの感情は違う。
そして私は無理やり腕をはなし、彼の腕から抜け出した。