・・・どうしようどうしよう。
変だ、おかしい、私の心はおかしい。
なんで、こんなヤツに、人間の敵に、心揺さぶられてるんだ。
魔界でも思った、
この人は、本当は完全に悪い人じゃないって。
少し、優しいところがある。
ううん、少しじゃない。
たくさん、優しい部分があって。
私は彼のそんなところに何度も救われてきている。
ドクンドクン、と心臓が音を立てて。
けどだめだ、ダメだ、絶対だめだ。
「・・・ゆりな」
ヤツが私の名を呼ぶ。
悔しい、惹きつけられるみたいに、顔を上げてしまって目を思わず合わせてしまうことが。
「・・・好きだ」
そう言ったかと思うと、
私の腰周りには何かが巻きつく。
何かなんて、考えなくても。
腕だ。彼の腕だ。
抱きしめられている。
あれ、おかしい、本当におかしい。
なんで突き飛ばす力が出ないの?
こんなに冷たい。全く温もりを感じない・・・はずなのに。
どうしてどうして熱を感じるの?
それは私が熱を作っているから。
私の心が熱いから。
・・・やだやだ、私の心は蝕まれてる。
あー・・・
なんで、私も手を伸ばしてしまったかな。
なんで、私も彼の背中に、手を回してしまったかな。
きっと、人恋しくなってるだけ。そうなのよ。
私は、結界師、狩人。
「・・・たとえ隣にいるのが、悪魔だったとしても
ひとりぼっちよりは全然マシ・・・」
私は自分の心を偽ることにした。
違うんだ、違うんだって。
今発した理由で、私は抱きしめ返したんだって。
そう思うことに決めた。

