そしてヤツにまた家まで抱き抱えられて送ってもらってしまった。
帰路にて、
ヤツの足音はコツコツと音を鳴らすのに対し、私の足音はプランプランと揺れていた。
なんだか、頭が稼働していなかったか。
ようやく家について、靴を脱いで、ようやく頭がまわってきて。
そういえば、私のバイクは、なんてそんなことが考える余裕が生まれ始めた。
私は玄関先でヤツを中に入れるか迷っていたが、ヤツは図々しくも私の許可もなしに
邪魔する
なんて低音ボイスで言い放ち中に入り込んだ。
・・・ま、いいか
なんて思う私は心が蝕まれ始めたか。
けれど、助けてもらった。
どうしてなのか知りたかったし、
感謝のために少しお茶を出してもよいと思うのだ。
「・・・紅茶、飲める?」
私はキッチンに立ってダイニングテーブルにつくヤツに言う。
「ああ」
言葉数は少ない。
私もヤツの真意が読めなかった。
・・・気が、緩んでるかな。
もしかして、これから何か危険なことがあるかもしれない。
隙が、ある?
そんなこと、考えるの、失礼かな。
何度も、ヤツに助けてもらってるのに。
数分私たちは言葉を交わさないままだった。
何とか沈黙が流れなかったのは、
お湯を沸かしている音があったからだ。
そして紅茶をカップにいれて、ヤツの目の前に置く。
そして私も席に腰を下ろしてカップを目の前に置く。
「・・・あのさ」
話の口を切ったのは私だった。
「・・・どうして私を助けるの?
・・・わたしなんて、ヴァンパイアにとっちゃ都合の悪い結界師で・・・
それに今は、狩人としても、動いてる・・・のに
どうして?」
私は紅茶の水面に映る自分から目を外して私はヤツに視線を向ける。
自然に自分の眉が厳しく寄っているのがわかった。
またしばらくの沈黙。
きっと、3秒くらいしかなかったのだろう、
けれど、私はそれが1分にも、3分にも感じられた。
「・・・お前のことを、好いてしまったのだから、
しょうがない。」
ヤツは、私の目をしっかりと見て言うのだった。
心臓が、何故か、射抜かれるような、見透かされているような気がするのは気のせいだ。
気のせいだって、信じたい。
気のせいだって、言い聞かせる。
否応がなく私の心臓が早鐘を打ち始めた。
怖い怖い怖い、自分の心が、怖い。
「・・・しょうがないだろ。
体が勝手に動くんだ。」
ヤツは今にも消えかかりそうな声でそう言って、
頭を掻き毟るのだった。

