唇にキスを、首筋に口づけを



そしてジュンは奴をナイフで刺して、


そして、殺して。



私はその光景をしっかりと見ていた。


目を逸らさなかった。


前の私とは違った。


同じようなことが起きた時、
私は逸らそうとしてた。




そしてくるっと向き合えったジュンは、返り血が顔にべったりと付いていて。



・・・ああ、なんて私はその頬に手を伸ばしてしまった。



そしてその頬に触れて気づく。



自分の手が震えていたことに。



・・・あれ、

なんで・・・どうして・・・?



私の心臓がざわざわと騒めく。




「帰るぞ」



そう言ったジュンは自分にかかった返り血を袖で拭い取る。



そして次の瞬間、



私の肩のあたりと腰のあたりの感触と共に身体がふわりと浮いた。



・・・え?



かつかつと、足音が続いていく。


私のものではない。



けれど私の見えている世界はめまぐるしく動く。



あぁ、私、抱きかかえられてるんだ。


そう思っても、拒絶する力もなかった。




なんだか、立てる気がしなかった。


手足がガクガク震えてしまって。



そして気づくと、

頬には水滴がつたる。




「・・・ひっ

ぁぅ・・・」



声が、漏れる。私の嗚咽。



声が出るのが嫌で。



私は自分の手の甲を噛む。



「・・・やめろ」


上から声が降ってきて。



そしていつの間にか、どこかの公園についていたのか、

私はそこに座らされて。




そしてヤツに手を取られる。



そしてその噛んでいた手の甲を見て。



私の手の甲にはくっきりとした私の歯型が痛々しく残っていて。




そしてヤツはその手の甲の部分を優しく摩る。


まるで昔母にしてもらっていた、痛いの痛いの飛んでけ、のようで。




また私の涙腺を震わせた。




「・・・ぁぁっ・・・」


私はそのまま、ヤツの胸に倒れこんだ。



そしてヤツの胸に頭を埋め、ヤツのシャツを噛む。



・・・後から考えれば、おかしいことで。



敵の奴らの胸で泣くなんて。


けれどこのときはそんな理性とか冷静な考えとかなくて。


ただただ、怖かった。


まだ、私は弱かった。



私は、一人じゃ何にもできない。