武器がないなら、アレだ。
私がこの身一つで使える最大の防御であり攻撃。
私はまた口が塞がれる。
深呼吸はできない。
けれど、ギリギリまで力を貯める。
「どう甚振ってやろうか?ははっ」
私のことを嫌らしく気持ち悪い瞳で見つめる敵達。
はぁ、本当に私はバカで。
けど、私はもう誰かの力を乞うたりしない。
もう、亡き彼の名を呼ぶことは、絶対にしない。
・・・こう思っている時点で、少し彼のことを頼ってしまっている。
まだ、私は不完全だ。
・・・私は目を閉じる。
力を、使おう
私は自分の最大級の力を振り絞った。
ぐ、っと力を込めて。
すると自分の口を塞いでいた何かが外され口に空気が入って、
腕を掴まれていた力もなくなった。
よし!
私は目を開いて逃げようとした。
けれど
「同じことして俺たちに通用すると思ってんのかクソアマ」
・・・ガシッ!
また掴まれた。
な、に?
私は首をまわして辺りを見る。
・・・あ、れ
ヴァンパイアが、消えてない。
嘘でしょ
私の、最大級の力を使えばヴァンパイアを消滅することだってできるはずなのに。
おかしいおかしいおかしい。
嘘だ、どうして
なんで、私は力が劣ってしまったとでもいうの、
以前の自分と比べて。
ジリジリと主犯であるヤツが近づいて。
ああ、どうしよう。
急に、急に鳥肌がたつ。
悪寒が走る。
本当にやばい、ねぇ、どうしよう。
「泣いても無駄だ」
え・・・
そう言われて、初めて自分が泣いていたことに気づく。
言われてみれば頬に何か伝うものがある。
やだやだ、どうしてここで泣くの?
おかしい、まだ勝機は・・・
あるの?
ねぇ、どうしよう。
助けてよ、まだ私はやらなきゃいけないことがあるの・・・!!
こんなところでまんまと罠に嵌って殺されるなんて絶対嫌だ!!!
誰か・・・助けて
そう、私は誰かを求めた。
弱い、本当に私は弱くて。
もう嫌だ。
「あーうざい。
短絡的な展開になるが・・・
いいかな」
くく、そう笑って、ヤツは私が持っていたナイフを振り被る。
・・・終わった。
私は、私の家族のように、いや、それ以下のレベルの死に方だな。
そう思った時だ。

