ゆりなの体温を感じる。
俺の手の中に、ゆりながいる。
もう、これ以上の幸せはないと思えた。
けど、呑気にしている場合じゃあない。
俺はロングドレスを着ているゆりなを抱え上げた。
「逃げよう。」
ゆりなは泣きながらコクリと頷く。
そしてまた入ってきたように柵を飛び越えてバイクにのせた。
そしてエンジンをふかして全速力で走り出す。
その時だ。
「爽哉!待って!て・・・手が・・・!!」
ゆりながそう叫ぶ。
俺はすぐにバイクをとめた。
俺はゆりなを見る。
手・・・??
彼女の手を見る。
変哲も無い、いつもの、手がそこにはある。
「手がどうした?」
俺はまたゆっくりとバイクを走り出させた。
「手が、溶けていくの・・・!
怖い!やめて・・・!!!
とめて!!!!!
手が、なくなっちゃう!!!」
ゆりなは泣きながらそう訴えた。
何を言っているのか、さっぱりわからなかった。
洗脳とか、されたのか・・・?
俺が困惑しているとゆりなは怯えながらも話し始めた。
「ヤツに・・・ヤツに言われたの。
逃げたり、敵対心をもつと、私の身体が、どんどん溶けてなくなるんだって・・・!
このままじゃ私消えちゃう!!」
彼女は必死にそう訴えかけているが俺にはそれが見えなかった。
ゆりなの手は、俺がしっかりと掴める。
俺はゆりなの手を握った。
「・・・ここに、ゆりなの手はある。
俺が握っていて、ゆりなの手から、ゆりなの体温が伝わってくる。
平気だ、幻覚を見せられているだけだ、安心しろ・・・!」
そしてゆりなを抱きしめる。
背中をさする。
「俺を信じろ・・・!」
そう言えば、ゆりなは小さく涙声でわかった、と呟いた。
そしてまたバイクのエンジンをふかす。
はやく、はやく、この魔界から出ないと・・・!!!
俺は焦燥感にかられた。

