その日の実験でまとめられた結果としてまず、
人間は結界境線をくぐることは不可能。
結界境線に弾かれて、結界境線に触れた部分は莫大な圧力がかけられる、と。
罪人と言っても、人が目の前で死ぬのだ。
いい気分なわけではない。
俺たちはヴァンパイアの死に様はよく見るが、人間が死にゆく姿は見慣れているわけではない。
心を強く保たねば。
俺は深呼吸した。
ゆりな、待っててくれ。
すぐに、すぐに迎えに行くから。
すぐ、助け出す。
俺は遠くのゆりなに向かってそう念じる。
次の日、またも実験が成される。
「人間界のためになるなら、私1人ほどの命、全く惜しいと思わないわ。」
「俺に任せろ!絶対通り抜けて魔界に行ってやるから!!」
そう、2人の結界師が名乗りをあげてくださった。
とても、勇気のある2人だ。
何度か狩りで一緒になっている。
もし、もし、2人を失うことがあれば・・・
やばい、
俺は情を持ってしまっている。
ダメだ、なんだか、恐怖に苛まれるではないか。
大丈夫、大丈夫。
俺はフーッと息を大きく吐いた。
自分に暗示をかけた。
きっと大丈夫である、そんな風に。
まずは女性の方。
結界境線を通るために自分で結界を張るのか、行う。
「じゃあ、行くわ。」
そう、俺たちにむかって笑顔で言ってくれる。
なんか泣きそうだ。
俺は下唇を噛みしめる。
「ハッ・・・!」
彼女は自分を纏うように結界に包まれた。
そして前に進んでいく。
先日のような突風は吹かない。
成功、か?
そう俺は嬉々とした表情を浮かべたその時だった。
「きゃあああああ・・・!!!」
そんな、断末魔。
俺たちはすぐに身構えた。
まさか、まさか俺たちは大切な仲間を失うのか。
そうしていると彼女は先日の罪人のように弾き飛ばされてきた。
しかし、自分の結界で守られたのか、
重症には至らなかった。
「大丈夫か!?」
皆が駆け寄る。
「すぐに治療を・・・!!」
皆がバタバタ動き出す。
「平気、よ。
かすり傷だから。」
彼女はゆっくりと立ち上がる。
周りが皆彼女を支えた。
そして彼女が口を開く。
「ダメね・・・私の結界程度だと、
全世界の結界師の結界を集めた結界境線には敵わない・・・」
そう彼女はうつむきながら首を横にふる。
結果、
結界境線に個人の結界は太刀打ちできないとして、
結界境線をくぐるのに、自身の結界は使えない。

