唇にキスを、首筋に口づけを




そう俺が言うと、

目を見開くもの、
隣の者と話し出すもの、
驚きで声をあげるもの、

とにかく周りはざわついた。


「それは、証拠はあるのか・・・?」



1人の狩人が一歩前に進んで言った。



「証拠は・・・ありません。」




・・・証拠・・・?



んなもんはねぇよ。



けど、わかるんだ。



そういうの、狩人のカンとしてあるだろ?



俺は軽く口を出した狩人を睨む。



証拠がないならまだ断定するのは早いんじゃないか、


警察に届けるのがいいんじゃないか、

という声も上がる。




警察?

届け出てどうなるんだ?


警察なんて人間のことしか調査できないだろ、


なんらかの矛盾が見つかったってそれがヴァンパイアが存在するなんていう結論にたどり着くわけがない。



「ちょ、ちょっと待ってください・・・」




1人の結界師がか細い声で手を上げた。



俺はそちらに視線を向ける。



俺と同じ歳くらいか。




「ゆりなとは、

私は同期で、
訓練も班が一緒でした・・・。


実践練のとき、
確かにゆりなの周りにはよくヴァンパイアが集まったんです。


おかしいなって思うくらいに・・・。



だから、何か、そういう何かが、ゆりなにはあると思うんです、

証拠とか、そんなものでは証明できない、何か・・・。」



・・・そう、ゆりなはヴァンパイアを惹きつける何かがあるんだ。



それが匂いなのか血なのかはわからない。



そして俺は口を開く。



「まだまだ全然ヴァンパイアの研究が進んでません。

結界境線を結界師は通り抜けて魔界に行けるのか、

ヴァンパイアは何に惹きつけられるのか。


そんな状態で証拠はとか言って話を止めるのではなく、

前に前に知識を増やす方がいいと思うんです。」




俺は少し調子にのったかな、と焦った。



思いっきり年長者の意見を切った気がする。



けれど、まだ本当に攫ったのがヴァンパイアなのかということを追求してきたので、


俺はその日は諦め、
後日ヤツのことをまた調べることにした。