「ったく、
この混血がっ・・・!!!」
ヤツのオーラががわりと変わる。
冷静沈着な感じの、
温度が低い感じのヤツが・・・。
なんだか怒り狂っているように、見える。
ヤツは私を襲おうとしたヴァンパイアを踏みつけた。
・・・!?
そして何度も何度も蹴ってる。
・・・!?
ちょ、やり過ぎじゃ・・・!?
傷が諸に見える。
けど、その治癒能力である程度は戻る。
それでも、
その治癒能力が追いつかないくらい、ヤツは殴ってる。
やめた方がいいんじゃ・・・。
私は硬直するしかなかった。
「俺のモノを傷つけた代償を払え。」
そうドスのきいた声と共に、
シャキンと、
金属の擦れる音。
ヤツが剣を引き抜いたのだ。
「お前の首をもらうぞ。」
・・・。
私は目を閉じた。
・・・ああ。
耳も塞げばよかったかな。
とっても嫌な音がしたなぁ・・・。
なんか、私の靴にも飛び散ってるし。
なんで、私、ヴァンパイアが首を討ち取られる現場なんて生で何回も見てるのに。
どうして、私、
今こんなに動揺してるんだ。
軟禁されて、精神状態おかしくなっちゃったんだなぁ・・・。
____________________
日はもう落ちかけて、
真っ赤な夕日の光が私達の馬車に差し込む。
・・・帰ってる途中だ。
結局、私は売られるとかそういうことはなく、
この身は傷一つとしてない。
ずっと沈黙だった。
私がヤツに助けられてから、ずっと。
ただただ力強く私がどこにもいかないように、
手を掴まれていたけれど。
そんな静寂を止めたのはヤツだった。
「混血には俺ら純血も手を焼いているんだ。」
ぽつり、
落とすように言った言葉。
なんだ、それは。
「混血と純血って・・・なんですか・・・?」
私はヤツの方に少し目線を向けた。
ヤツの表情はフードでやはり伺えない。
ただ、ヤツの息遣いは聞こえる。
「・・・純血は、
ヴァンパイアとヴァンパイアの性行為によって生まれたヴァンパイア。
混血は、
ヴァンパイアによって、ヴァンパイアにさせられたモノを指す。
元は人間だったものが多いな。」
淡々と答える。
・・・へぇ。
私は動揺しない素振りを見せた。
・・・ヴァンパイアにさせられる・・・?
・・・人間界の知らないところで誰かが攫われているのだろうか・・・。
「どのように、ですか・・・?」
私は心臓が痛くなってきた。
こんなこと、なんで聞いちゃったんだろう。

