唇にキスを、首筋に口づけを




その時だ。



ドスッ



そんな鈍い音をたてて、


目の前のヴァンパイアが転げたのは。




・・・!?



え・・・!?




私は期待をした。




淡くて、儚い、期待を。





そんなこと、あるはずないのに。




爽哉が本当にここに助けにくるなんて、あるはずないのに。




私は倒れたヴァンパイアの逆方向を見た。




・・・。




・・・ほら、ね。










なんて自分は浅はかな期待を持ったのだろう。




自分がバカらしくておかしくなる。




ははは、



こんなとこに、爽哉はいないよ。




知ってるって、わかってたって、



期待を、した。




やっぱり、



爽哉じゃなくて。




・・・ヤツ。





「ゆりな、大丈夫か。」



フードをとって、

麗しい顔が飛び出す。




・・・目が、真剣って感じだなぁ。




私を一生懸命さがしたり、したのかな。




ははは、そんなわけないよ・・・ね。




私はコクンと頷いた。




そしてそれを見て少し顔が明るくなるヤツ。




「よかった・・・。」




声が柔らかくって。




・・・嘘でしょ。



そんな声、出すの・・・?




冷徹なヴァンパイアが・・・?




「ゆりな、お前はさがってろ。」




そう思ったら急に声が引き締まる。




勇ましい声色。




私は黙って3歩ほど後退する。