唇にキスを、首筋に口づけを



そんなことをしながら、
ふと気付いた。





「・・・あれ、

ここ、どこ・・・?」




・・・。




私は、あまりヤツと離れないようにと意識していたはずなのに、


徐々に遠ざかってしまっていたようだ。





・・・ゾワッ・・・!




私の背中に悪寒が走った。




・・・これは、非常に危険な状況。




人間の世界でも見知らぬところにいたら不安になるというのに。



まだ人間の世界だったらケータイがあって、

地図の機能があって、


どうしようもないときはお巡りさんに聞けて。




・・・ここ、魔界、だよ?




知ってる人なんて、ヤツしかいないのに。




どうしようどうしよう。





頭をグルグル回転させて。




結局答えなんかなくて。




そんな時だ。




グイッ



腕を引かれたのは。




「ひっ・・・!!!」




私は思わず声をあげる。



腕を引っ張った主を見る。





フードを深く被って、


・・・ヤツ?




けど、雰囲気違う。




全然、違う。




この人にはなんか、


変な、犯罪者みたいな、
そんな、恐ろしいオーラがある。




そして瞬間的に引っ張られて、私はどこかに連れて行かれそうになった。




「・・・きゃああああっ

助け・・・むぐっ・・・!」




私が声をあげた瞬間、


私は口を封じられた。



フードからチラリと見える瞳は、

赤く燃え上がるようで・・・。




飢えだ・・・。




そして気づけば私は路地裏に連れて行かれ、



背中を塀に押し付けられていた。




死ぬ、今度こそ私、死ぬ。




生き血吸い取られて死ぬ。




・・・お母さん達みたいに。





怖い、ほんとに怖い!




やだやだやだやだ・・・!!




けど、声が出ない、

喉が固まってしまったみたいに、


声が絞り出せない・・・。




「お前、

人間だろう・・・。



なんで生きた人間がこんなところに・・・。



俺的には好都合だしな。


ちょうど血が足りていなかったところだ。」




不気味に、
口元だけがぴくりと上がる。




・・・やばい。



本当に、これは、絶体絶命・・・!





「にしても君さ、



めっちゃいい匂い・・・。」




私の首筋にヤツの顔が近づく。




いや、いやだいやだ・・・!




ほんとに吸われる・・・!



これで牙をたてられたりしたらそれこそ私、終わる・・・!





そして無意識に呼んだ。





「・・・爽哉・・・!


助けて爽哉・・・!!!」



こんなとこに、いるわけがないのに。