「あー、サンキュー」
爽哉はワシャワシャとタオルで自分の髪を拭きはじめた。
そして顔を上げた。
すると爽哉は私の顔を見て目を見開いた。
「え、ちょ、
お前何で泣きそうなんだよ」
爽哉の目は見開いたまま、
体を拭く手は止まる。
え!?
私は一生懸命首を振った。
「な、泣いてない・・・!」
「吃ってるけど。」
爽哉はそう言いながら靴を脱いだ。
「本当に!」
泣いているわけ、ないじゃないか。
こうしてここに爽哉がいるのだから。
「・・・んま、
俺が悪いよな。
ごめん、
帰り、遅くなったから心配したんだろ?」
爽哉は私の頭をポンと叩いた。
・・・ッ、
うん、
私はそう言う風に爽哉と目を合わせないように頷いた。
「ん、ごめん」
爽哉は返事をして、
また謝った。
そうすると、
風呂沸いてんのー?
と、テクテクといつもみたいに歩きはじめた。
「沸いてるよ・・・!」
私は何故だか声が大きくなった。
なんでだろう、
そう思った。
多分・・・、私がいて、爽哉がいる、
そんな事実を示したかったのかもしれない。
「んー、わかったー」
爽哉はそう言うと脱衣所に直行した。
私はその姿を確認してから、
もうすっかり冷めてしまったやかんのお湯をまた沸かし始める。
そしてその間に爽哉の服を洗濯機にまわした。
そして数分すると、
爽哉が風呂から出てきた。
あ、
「ココア飲む?」
私はキッチンに行き、といかけた。
「飲む」
爽哉はそう言ってソファーに座った。
私はココアを入れて、
爽哉に渡し、私も爽哉の隣に座った。

