唇にキスを、首筋に口づけを



こ、怖い。



そんなこと言われても・・・。



嫌って嫌だよ。



けど、嫌って言ったらどうなるか気がしれたもんじゃない。




私、ほんとに、もう。



どうなるの、これから。




怖くてたまんないよ。



「・・・この世界で痕とは、


魔除けと愛情と執着を表す。」




・・・少しだが、口調が柔らかくなった気がした。



私は俯くばかり。



ヤツの一言一言を耳に収めることしかできない。




「・・・安心しろ、

これは魔除けだ。


俺の所有物というな。」




・・・所有物・・・。




モノ、なんだ。




今、私はモノなんだ。




そして少し顔をあげて頷くと、



眼科にフサフサした黒い物が目に入る。




そしてそのとき、


首元に小さな感覚とチュッというリップ音。




「・・・ひっ・・・」




私は声をあげてしまった。




しまった、と私は口を抑える。





(この首筋に牙をたてたい・・・、


耐えるんだ、耐えろ俺。)













_____しばらくしてから馬車の外がざわざわしてきた。




街かな。




私、どうなっちゃうか、わからないけど。



この活気のある雰囲気は、フツーに嫌いじゃない。




そうしているとお尻に伝わる振動がなくなる。




「ついたか」




ヤツの声がやけに清々しい。




「降りるぞ」




ほら



そんな風に自然に出される手が、


なんだか胡散臭く感じてしまって。




今から酷いことがあるから、優しいんだって、
そんな風に思って、


心の底から微笑めない。




「ありがとうございます」




そう言って私は触れているか触れていないかのギリギリのところへ手をのせた。