唇にキスを、首筋に口づけを




私はおずおずと手を取った。



「さあ行こう。」




そう行って私のドレスの丈の長さを気遣って歩調を合わせる。




何この紳士、




前の時みたい。




前の時、ってことは、


また、何か裏があるのかな。




・・・怖い。


大丈夫かな、着いて行って。



けど、外には、出て見たい。



そう思ってついて行く。



扉を開けると、

目の前に広がる空。



黄色い光。




「・・・外だぁ・・・」



私は小走りで外に出る。




任していた手も払って、

外に飛び出す。




「うわあ」




私は思わず雄叫びを挙げた。




・・・ここ、


丘の上にあった屋敷なのね。




私は眼下に広がる森を見てそう気付いた。



「あまりはしゃぐな、

乗るぞ。」



そう私を規制する声がした。



私はハッとする。



いけないいけない、油断なってはならない。




けど、とっても気持ちいい。



風なんて、どれくらいぶりだろう。




心の重鎮が一気に解き放たれたようだ。




・・・そしてふと頭の中でヤツが言った言葉を再生する。




乗るぞ





・・・乗る?



私はそう不思議に思って振り向く。




そこには、



「・・・ば、しゃ。」




馬車だ、馬車・・・。




私が目をひんむいていると、

奴は早くしろ、と言わんばかりの表情。



しかも奴はマントのフードを深くかぶっている。



目元が見えないからさらに怖い。




「すみません」




私はそう言って馬車に駆け出す。




そしてなんとも優しい手つきで私は人生初の馬車に乗った。