唇にキスを、首筋に口づけを




「姫のようだな。」



ぽつり、


私を足先から頭まで見てから、奴はそう言った。





「・・・はい?」




そんな言葉が頭がついていかないうちに反射的に飛び出た。




な、にを言っているんだ。



姫って、え。



そんな比喩があるだろうか。




そんな比喩をした人間を今まで見たことがない。




いや、そうか、こいつは人間じゃなかったんだ。





「・・・その髪はどうした。」




ぴん、と私の髪を指差す。




私はその単調な言い方に怒りをかってしまったような気がした。




「・・・これは、ミラさんにやってもらいました。



街に出るのでしたら、キチンとした身なりをと言われたので。」




私はそう謙虚に謙虚に答えた。




私の髪は緩くまかれてトップで一つに結わかれている。



そこにヒマワリの花の髪飾り。



季節はずれだけれど、とても可愛い。


こいつの怒りに触るようなことをしただろうか、

いや、していないはず。




「ミラが・・・あいつは器用だな。」



ははっ、そう俯きつつ笑ったやつ。




・・・へ・・・?




私は度肝を抜かれた。




また、笑った・・・。




どうしたんだろう、今日は。




なんかあるんだろうか、


それとも街に出ることで気分が高まっているのだろうか、



謎の緊張が私をとりまいた。




そうしていると、

ヤツが上を向いて微笑んで来た。




・・・う、そ。



笑顔をむけてきたよ、え。




そしてとても美しい。



計算つくされているように綺麗な角度であがっている口角。




私が驚いていると、奴は私に手を差し出して来た。




「お手をどうぞ、姫。」



ひ、ひめ・・・。



身震いする私。


・・・そしてとんでもない言葉が私の耳を通り抜ける。




とても似合っているよ。




・・・なんて。



今日は何が起こるかとてつもなく心配になった。