唇にキスを、首筋に口づけを





そう会話もおわり、

いつもの静寂の中でまたもフォークとナイフを進めていると、ガチャリと扉が開く音がした。




ちら、と俺はそちらに視線をやる。




「失礼致します。」




視線をやったとき、

ちょうどその声が聞こえ、


視力と聴覚からミラだとわかる。




「ああ」




俺はそう頷いて、
何か用か。



そう尋ねる。




「・・・はい、



実は、ゆりな様が食事をとらないのでございます。


毎回説得はしていて、気が向いたら頂けるように部屋の前に食事もおいておくのですが、


それも減ることはなく・・・。

かれこれ5日近く・・・。」



・・・5日?



「何もかも口にしていないのか?」




俺は少し焦燥感の混じった声で言ってしまった。




「・・・はい、そのようです。」




俺の心臓がどくんどくんと高鳴っていくのがわかる。




・・・なんで、俺は・・・。



とてつもない罪悪感に襲われた。




「・・・わかった。」




俺はそういって少し俯く。



そして考える。



何故だ、と。




「ジュン様。」




そうミラが優しく包むような声で俺の名を呼ぶ。



ミラがこんな声で話すときは、大抵俺を諭す時だ。


どくり、


俺は何かしでかしてしまったか、焦燥感が募る。





「人間は、


多少のストレスが必要なのです。」




「・・・ストレス?」



・・・ストレスが必要?


ストレスは減らせ減らせと世では言われ続けているのに?




「ストレスは過剰なものを減らせと言われているのでございます。



ストレスの中には、騒音、日の光、匂い、気配など、そのようなものも含まれるのです。


無の空間に放り出された人間は、まず時の経過がわからなくなり、


徐々に精神は蝕まれていきます。



ゆりな様は、

精神状態がよろしくないということでございます。」





ミラが優しく、わざとゆるりと話しているということは察しがつく。




・・・俺を惑わせないためであると。


・・・俺は。




そこに少しの間うなだれていた。





ージュンsideーend