ージュンsideー
それは夕食の時間であった。
今日も兄貴と二人で飯を食う。
いつもは話はしないがふと、兄貴が口を開いた。
「なぁ、
あの人間の女、最近どうなの?」
・・・ゆりなのことか。
「・・・さぁ・・・?」
「急に何もしなくなったしさぁー」
ぽつりとふわふわした雰囲気でいう兄貴。
「兄貴、見てるのか?」
ぎろっと俺は兄貴を睨んだ。
「いや、別に血を吸おうとか考えてねぇから、たまに廊下を過ぎるときにチラッとな、
気配で何もしてねぇのわかるじゃん?」
そういうものか、気配、ね。
・・・そうか。最近は読書も演奏もやめたのか・・・。
「お前さ、
何の目的であの女ここに連れて来たの?」
ぐしゃぐしゃと肉を噛み切りながら喋る兄貴。
「は・・・。
そんなん決まってるだろ。
俺を殺しかけた狩人を屈辱に晒すためだ。」
俺はそう言って憎きあの狩人の顔を脳裏にちらつかせる。
「どうやって?」
「どうやってって、
あの狩人はウザいくらいに頭がキレるんだよ。
作戦とかも小癪な真似しやがったりしてな。
だから絶対にあの狩人は場所を特定する。あの女がここにいることを知る。
そしたら何が何でも助けに来るよ、
あの狩人はあの女を大切に大切に溺愛してたみてぇだからな。
んで、あの狩人が来たら、
目の前であの女を殺すんだ。」
そう言って俺は食べ物を口に運んだ。
なんだかまずいもんを食べたような気がした。
おかしいな、なんだこのむずかゆい感じは。
むなくそわりぃ。
「殺すのか?
殺したらその狩人、逆にこっちに復讐しかけてくるだろ、
ガチな感じで。」
そう言って他人事のように口に笑みを浮かべた。
「そうかもな。」
俺はそう言ってそのまま食事を進めた。
夕食がこんなにおいしくない感じがするとは、
あまりいい気分じゃないな。
「目の前でキスくらいにしとけば?
そんぐらいだったらいいだろ、
んでもって好きな女が他の男とキスするなんて目の前で見せられたら結構な屈辱くらうと思うよ?」
そうケラケラと笑って水を含む兄貴。
・・・キス、ねぇ。
そのくらいならいい度合いに屈辱に晒し、いい感じの精神的ショックを与えられるかもしれないな。
あの女が俺のキスで快感に溺れる姿を見せつける。
いいね、それ。
たまには兄貴もいいこというね。
次に口に入れた食べものにはまずい感じはなかった。
不思議だ。
俺はそう感じながらも食べすすめた。

