ヤツの心の内側を読み取ったという優越感と、
ヤツへの同情かつ尊敬かつ驚愕という謎の感情で心に余裕が生まれる。
・・・きっと、
私が本当に本当に嫌がることは、
しないんじゃないかな。
私は体の力が一気にすうっと息でも吐くかのように抜けていった。
「屈辱・・・ですか。」
私はすうっと呟く。
確かに、ヤツは爽哉には恨んでいるように見える。
けど・・・、私に必要以上になんかしそうにない・・・。
・・・でも。な。
キスマーク、とか、付けられたしな。
なんだかんだで、やっぱ嫌がらせはしてくるものね。
・・・私ってば、一瞬何を考えたのかな。
一瞬でも、
コイツに気を許そうとしてしまった。
バカめ。
コイツといすぎて精神狂ったか。
確か、こういう心理、あるらしいし。
誘拐した犯人に、被害者がどんどん惹かれていく、みたいな。
何処かの本だがドラマとかで見た。
・・・私も、それに陥りそうになったな。
いかんいかん、
コイツは敵で、私が倒そうとしているヤツで。
私はキッと奴の顔を睨みつけた。
自分の心を、揺るがしてはならない。
「・・・なんだその目は・・・」
ヤツの威圧感たっぷりの表情が現れる。
「・・・なにも」
私はすました顔をする。
抵抗しても、コイツは喜ぶような気味悪いヴァンパイアだから。
「・・・ムカつく・・・」
そう消えそうに言ったかと思うと、首に急に痛みを感じる。
・・・!
またつけられる・・・!!!
やだやだやだやだ・・・!
そう・・・爽・・・。
・・・あ。
また、私は爽哉に頼ろうとした。
弱い弱い弱い。
ダメよ、自分の身体は自分で守る。
それが結界師の掟みたいなものじゃない。
かといって、今は結界も使えない。
爽哉の力もない。
今は妥協します、弱い自分ですみません。
私はそんなことを0.1秒くらいの間で考えた。
私はそして大きく息を吸う。
「・・・アイシャンドさん・・・!!
ミラーネさん!
ミラさん!ミラ・・・!!!!!」

