唇にキスを、首筋に口づけを




バイトはそろそろ一年たつし、慣れてきた頃。




最初の頃は愛想が悪いって言われたけど、




今や作り笑いは得意な方だ。





「お疲れ様でしたー」




バイトが終わって、



私は店を出た。




時計を見れば9時をまわっている。





あー・・・、暗いなー。




いつものことだけど、



疲れたー・・・。





私はうーん、と腕を伸ばす。





早く帰ろ、





私はそう思っていつもよりも早い速度で歩いた。





家に着くと、やっぱり電気はついてない。





鍵を出してドアを開けた。





「・・・ただいまー」




・・・当たり前だけど返答はない。




バサ、



私は鞄を床に落とす。




シャワーを浴びて、何か飲もうとリビングに着たら、



そとから雨の音がした。





・・・あ、




嘘でしょ。





・・・雨かぁ・・・。





山の土壌、悪くなる・・・。




爽哉、平気かな・・・。





私はそんなことを思いつつ、



タオルを用意した。





お風呂のお湯はもちろん、



帰ってきてすぐに温かいものが飲めるようにお湯も沸かしておく。




「・・・」




一通りすることがなくなって、



静寂が私を包む。





・・・孤独感。





・・・嫌だなぁ、この感じ。





何かしよう。




私は髪をドライヤーで乾かしはじめる。





私は髪が結構長い。




だからしっかり乾かすには時間がかかるんだけど・・・。





あれ、乾かし終わったよ、



爽哉が帰ってこない間に。





今は、何時?





10時過ぎた頃・・・。




絶対そろそろ帰ってくるはずなのに・・・。




それに外は雨が降ってる、



降り出したところで撤退命令が出てもおかしくないのに・・・。