唇にキスを、首筋に口づけを




「んま、せいぜいここではおとなしくしてるんだな、助けがくるまで」



ガッ



急に近づいたかとおもえば前髪をこれでもかと上へ引っ張りながら言われた。




「いっ・・・」




痛い・・・!




なんて力なの・・・!?




そして手を離されたかと思うと、パラパラと数本髪が落ちた。





「あ、ごめんね?」




ははっ、そんな風に笑われた。




・・・。




私はそんな奴の謝罪とはいえない言葉を聞き流し、自分の髪をあわあわと見た。




なんて、こと。




髪は乙女の命とかよく言う。




そんな精神が私にも根付いていたらしい。




なんだか、私は死にかけたようなそんな気持ちになった。



ぽっかり穴があく感じ。





「てーか、


助けとか来んのかな、多分、ここを見つけられねぇよ、

愚かな人間なら」





ははっ、


そんな風に言って笑った。




びくん、私の肩が反応して無意識に動いた。





「・・・ここは、どこなの」




私は抑揚も付けずに淡々と話した。





「俺の家。」




ぽつり、
一言投げるように言った。


雑な対応だな。




俺の家って、ばかじゃん。




ここはどこの町なのってことだわ。




はたまた日本なのか。




「あなたの家は二つあるでしょう。



人間界で暮らしている方と、


実家。」




実家、というのは、なんとなく魔界という言葉を出したくなくてオブラートに包んだ言い方だ。




なんで魔界という言葉を使いたくないんだ?




・・・もし魔界の方と言われるのがとても怖いからだ。