唇にキスを、首筋に口づけを



高校3年生になる頃には、


私達も一人前という扱いをされるようになっていった。




教育係の先輩もつかなくなったし。




けど狩りの時間は決まってた。




今まで、実践訓練という形で、一定期間狩人のサポートとして、

森に出なければならなかったけど、


一人前になれば必ずしも出なければならないというわけでない。




結界境線に専念してもいい。




あと、先輩達は狩人、結界師同士ペアを組んで狩りをしているような。





これは個人の自由で。




私達もその流れにのってペアになっている。




基本、爽哉は私を森や山に出してくれない。





行きたいと言っても、


拒否されるだけで。




ツライ、



私も、行きたいのに、




爽哉を助けたいのに、





今でもそう思ってる。




爽哉は、




「お前を危険な目に合わせたくないんだ」




そう切なそうな目で毎回、


同じようなことを言うんだ。




私だって同じなんだよ?




爽哉を、危険な目に合わせたくないのに。




けど、今にも消えそうな目で言うから、



頷いちゃうんだ。



毎回。




・・・、




―――――って、




何でこんなにも思い出しちゃってるんだろ。





塗り潰したかったのに・・・。




また、鮮明な記憶として刻まれてしまった。




私って、バカだな。




私はまだ握られている手を強く握った。




「爽哉、行くよ!」




私は無駄に明るい声を出した。




あ、あからさまだったかな。




けど、記憶を飛ばすにはこれしかないんだ。




「・・・ああ」




爽哉もゆっくりと手を離しながら静かに言った。




爽哉の、



テンションが低いのは気にしない。




私の、



心の内が不安なのも隠す。




そうしていると車が前に進んだ。