爽哉も同じような時期に実践に出られるようになっていたな。
まだ学生だから、
と、
私達は狩りに出させてもらっても、
時間は7時から10時半という時間内が決まりだった。
教育係として、
一人ベテランの結界師の先輩がついていたのだけど。
爽哉も同様に狩人の先輩がついていた。
私の方が家に帰るのが早くて、
その理由は、結界師の先輩が、
『なるべく早く結界境線に参加出来るようにトレーニングしとけ』
という理由と言う名の、命令だった。
結界境線というのは、
魔界と人間界の線、
言わば境界線とやらで、
先祖の結界師が人間界の危機を救うために張り出したそうな。
この結界はかなり高度で、
今でもいっぱいいっぱいなのに、
あの時は全然出来なくてさ。
無意識に、張る、
しかも自分の見えないところを、
っていう条件が難しすぎて。
意外と、デカくて強いヤツを意識的に張るのは容易なんだよね。
だから、微量でも、
無意識にずっと張り付けていくのは難しい、
今でも力を抜いてしまって、
私の分の結界が張られてない、
なんてのが極たまにあるし。
爽哉は私のような事はなく、
難無く実力を上げて行ってたな。
今も、成長し続けているけど。
ある日、
私がトレーニングしつつ爽哉の帰りを待っていたら、
教育係の狩人といつものように帰ってきて、
そしたら教育係さんが、
「爽哉はすげぇ!
まじで10年に一人の逸材だよ!
普通の狩人20人分くらいの力持ってる!」
っと、私に向かって言ってきたのを覚えてる。
・・・まじか、
そんな強くなったのか。
私は固まってしまった気がする。
私も負けてらんねぇ、って頑張ったな。
そのおかげか、
三ヶ月後くらいには結界境線に参加できるようになったっけ。

