胸がバクバクと音をたてて鳴る。 押さえる手に恥ずかしいくらい大きな脈動が伝わってきて。 顔が赤らんでいくのを抑えることができない。 いつも通りの始まりに、ほんのちょっとだけ。 いつもと違うのが混じった。 バス停でバスを待っていたオレの後ろを君がふわっと通り過ぎて…… そうだ、あれは ――りんごみたいに甘い香りだった。