「寒っ!」 彰吾が車に乗った瞬間、周りの空気が冷たくなる。 肩を持ち上げた状態で、エアコンの吹き出し口に両手を差し出す姿を見て吹き出した。 それはあの頃と変わらないから。 変わった部分と変わらない部分。 それは私にも当てはまる事。 そんな私を見て、目を細める彰吾。 その目を私は知っている。 あの当時と変わらない。 何かを決意した時の。 あの頃と同じ目。 それを受け止める私。 ゴクッと喉が鳴る。 いよいよ…… 私は全ての現実と対峙する。 そう思っていたのに……