用を済ませ、店内に戻るとレジ前にニット帽の頭が見える。 少し早足で彰吾の元へ向かう。 彰吾の真剣な目線の先…… 「……おでん?」 「美味そうじゃね?」 「肉まんは?」 「今、温め始めて30分ぐらいかかるって言われた」 少し残念そうな表情に思わず口元が緩む。 そんな私を見て、彰吾が何かを言いかけた。 「おまっ、バカに……」 「じゃあ、私は大根とちくわと卵!」 「ちょっ、あっ、じゃあお兄さん、それ2コずつ」 気付かないふりをして自分の好きなものを注文する。