すでに日は傾いていて。 かけられていたブルゾンを肩にかけ、前を合わせて車を降りる。 ロックをかけてからガードレールを跨ぎ、街路樹の向こうに見える広場に足を向ける。 少し先にベンチがいくつか並んでいて。 そのひとつにニット帽を被った男性の後ろ姿。 今日、カフェでずっと私の視界にあったその背中。 枯れかかった芝生の上を歩き、その背中に近づいて行く。 昔…… 同じ事があった。 あの時は大学の中庭で。 同じ頃。 あの時も12月だった。