遠くで……


子供の声が聞こえる。



キャーキャー……


ワーワー……


待ってよぉーっ!





体を捩ると鼻を掠める香水。



それはずっと……



「……え?」



ゆっくり目を開けた私に視界に飛び込んできたのは壁。


壁じゃない。


薄暗い中、手で感触を確かめる。



車?



私の体は地面と平行。


でも不自然に膝が曲がっていて。


ゆっくり体を起こすと窓から見えるのは。



「……綺麗」



12月だからなのか、街路樹がキラキラ光っていて。


その向こうには広場があって、子供たちが街路樹のイルミネーションを見て走り回っている。