「……ごめん……菜月……」 絞り出されるように掠れた小さな声。 俯いた桃香がどんな表情を浮かべてるのかは分からない。 だけど伝票を押さえる手が小さく震えていた。 『今日が最後だ』 彰吾はさっき親友だった徹にそう告げた。 バイバイ…… 桃香…… 心の中で元親友へ私も告げる。 こんな形で大切な親友を失いたくなかった。 失うとは思ってなかった。 でも…… もう一緒に笑いあう事は出来ない事も分かっていて。 もし状況が違ったならば。 最初に桃香から謝罪の言葉を聞いていれば……