「お前は黙ってろ。徹は自分の気持ちを自分の意志で伝えようとしてんだから……」 その言葉と徹を見る真剣な目。 彰吾が徹に対してそんな態度を取るのを見るのは初めてで。 頭を抱えるように下を向いた徹の腕を掴んだままの桃香。 "修羅場" きっと、これがその場面なんだろう。 ただ…… 信じたくなかった。 自分に振りかかっているこの現実を…… 認めたくない自分が此処にいて。 でも、決して目を逸らす事の出来ない現実なんだと理解している自分もいる。 俯いたままの徹から目を反らすと矛先を変えた。